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Stalker [映画・ムービー・アニメ等]

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タルコフスキー監督の1979年に公開された映画
カンヌでは1980年に上映された作品
これをDVDで観た

この作品は周辺事情を紹介しておいた方が良さそうなのでざっくりと紹介しておくと
ストルガツキー兄弟によって書かれた小説を映画化したいというタルコフスキーの希望から作品制作が始まり
脚本に原作のストルガツキー兄弟を迎える物の解釈で食い違いが発生
数年間練り込んだ結果映画として作品になったのはこれであり
脚本家に変更はなかった物の俺達ならこう作ったという脚本が作られるなど
色々有ったという背景がある
そう言った事を踏まえると映画と原作小説は別物と単純に考えた方がいいだろう
世界観の魅力から映画制作に至った訳なので完全に切り離すというのもどうかとは思うが
原作小説との比較はナンセンスと言う事になると思う

当初「願望機」というタイトルに成る予定だったようだが
主人公の職業である「ストーカー」にタイトルは変更された
この辺は話に拘わるので後程もう少し詳しく
原作小説のタイトルは直訳では「路傍のピクニック」
英題「Roadside Picnic」であって邦題としては「道端のキャンプ」と訳すのがより近いのではと言う話だ
タイトルだけ観ても多数になる話な訳だが
切り込んでいくとこの話はSFである
ジャンルとしては「接触物」とか「ファーストコンタクト物」って部類で
「未知との遭遇」何かがこのジャンルでは有名
但しこの作品では宇宙人は出てこない
宇宙人が偶々今日はこの辺で休憩するかと立ち寄った時に捨てたゴミによって地球人が妄想を働かせ右往左往するというのが全体のバックボーン
この辺でタイトルの意味は理解出来るのではないだろうか

この映画にインスパイアされたと思われるゲームシリーズも存在する
「S.T.A.L.K.E.R.」と言うタイトルでシリーズ化されていて
立ち入り禁止区域がゾーンと呼ばれ
そこで生計を立てる者をストーカーと呼ぶなど
随所に共通項が観られるが制作側からは関連を否定されているが
余りに共通項が多い為映画が原作ではと言われている



映画の話
映画の中では具体的な背景の説明は為されていない
映画の中だけで言える事は
或る場所で何かが起こりその地域は全滅
そのエリアは立ち入り禁止とされていて「ゾーン」と呼ばれるようになる
その奥には全ての願望を叶えてくれる「部屋」と呼ばれる場所があり
そこへと行きたがる人々は後を絶たない
「ゾーン」は非常に危険な場所で奇怪な現象が発生しその状況は刻々と変化する
その為何の知識も持たずに侵入すると死んでしまう
その「ゾーン」内でのサバイバル術に長け道案内などを行う人間が「ストーカー」と呼ばれている
これが映画のストーリーの基本的な設定



このムービーはその移動シーンの一部
字幕を日本語にも出来るが酷く的外れな訳になるのであてにしない方が良いと思う
というか
まともなムービーが見つからなくて
良さそうなのは埋め込み出来なかったのであしからず

30年前の映画でソビエトの作品なので
特殊効果とかそう言った物はそもそも期待しないで戴きたい
今作れば相当な映像のSF映画にする事も出来るだろうが
タルコフスキーはそういう監督ではなく
その題材を使う事でいわば抽象的に「人間」や「人間社会」を描き
「生き方」を問う作品を映像美豊かに描き出す監督なので
キャッチーな効果とは無縁とも言える作品であり
映像を通してそう言った事を感じ取る作品になっている

映像は非常に美しく
フルカラーとセピアを効果的に切り替えて使っていて
タルコフスキーの映像感に浸れる事は間違いない
特に緑と水の存在感には息を飲む

映像で語りかけてくる要素も大きく
所謂退屈なシーンの連続や聞き慣れない言語で眠くなるとも言われるが
繰り返し観ると観る度毎に新しい発見や考えさせられる事など
非常に多くの語り口が存在しているので何度も観る事を奨めたい

確かに今の技術でアメリカなどで作ったら派手でそう言った面白味も充実した物になりそうだとは思う
特にゾーン内の危険についてはこの作品では感じられにくく
想像でそこを補完する形になっているし
タルコフスキーが描きたかった物とそのゾーンの危険そのものは特に関係が無く
敢えてそこに注力する必要もなかったんだと思われるが
危険度の高さが伝わりにくいのも確かだ
そう言った意味では現代版ってやつを観てみたいきもするが
それはこの作品とは求める形がまるで違うと思うので
そこを考えるというのは的外れになるのではないだろうか
やはりこの映画は映像美で描き出されるタルコフスキーのイデオロギーとも言える部分を存分に味わうというのが正しい見方だろう
思わず溜め息が出る程の美しさに圧倒されるはずである
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コメント 4

つる

タルコフスキーとは懐かしいすね
まだ駆け出しの頃、同僚に彼のファンがいて
その影響で「惑星ソラリス」「鏡」「サクリファイス」とか
名画座とかで観た記憶があります。
あまりSF色は意識せずに観てたかな。

DVDなども地味ながらリリースされてますよね。
当時分からなかった事も今なら理解できるかも知れないし
久しぶりに観てみようかな?
by つる (2010-06-07 12:23) 

あいあい

どうもです (f^^)
観てみると良いですよ
独特な雰囲気とかも良いし
また今観ると新鮮だと思います
当時は見えなかった・感じ取れなかった物と出会えるかも知れません

自分はDVDで「惑星ソラリス」とこの作品
LDで「サクリファイス」と「ノスタルジア」
この辺位しか持ってないですが
タルコフスキーの作品は好きですねえ

この機会に是非 笑
by あいあい (2010-06-07 13:44) 

つる

店頭でDVD見つけて買おうかどうしようか迷って
ずいぶん時間が経ってしまってました

>当初「願望機」というタイトルに成る予定だったようだが
内容はおぼろげにしか憶えてないけど、
この一文が何となく引っかかります。
「ゾーン」ってのは、「無意識の願望が現実になってしまう場所」
とか、そんな感じでしたっけ?

違ったかな?
見返さないとやっぱ憶えてないかも(苦笑)
by つる (2010-06-08 01:04) 

あいあい

「ゾーン」と呼ばれるエリアの中に
「部屋」と言われている場所があって
そこが「無意識の願望が現実になってしまう場所」ですね

大筋では間違ってないと思いますよ

それでもまあ
個人的には見返す事をお奨めします 笑
by あいあい (2010-06-09 01:02) 

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